勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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222:名無しNIPPER[saga]
2016/05/08(日) 17:30:23.87 ID:niX7BoNT0
戦士「あ、ああ……」

 その光景を見て、わなわなと震えていたのは、戦士だ。
 見間違いではない。
 見間違いであるはずがない。
 だって、その男は、余りに自身の記憶にある姿のままだったから。
 ずっとずっと、忘れることなく胸に思い描いていた姿のままだったから。

戦士「『伝説の勇者』、様……!」

 戦士の前に居た勇者は、歩みを止めてしまっていた。
 見えていないはずはない。
 勇者もまた、同じ光景をその目に収めているはずだ。

戦士「う、あ…! あ、あぁ……!!」

 胸がぎゅうぅ、と締め付けられる思いがした。
 ぼろぼろと、勝手に涙が零れてくる。










 ずっと前を向いたままの勇者の表情は、未だ見えない―――――――――














第三十一章  そして彼女は彼の言葉の意味を知る  完






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