提督「うぉゎぁああああああああああああああああああああああああああ」
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103: ◆kquYBfBssLZl[saga]
2016/01/12(火) 23:11:34.11 ID:vjF2MZgMO
司令官の怪我の完治も残り1週間ほどに迫った新月の夜。
普段歩き慣れた鎮守府の廊下も、夜の暗闇の中ではなかなか雰囲気が違ってくる。
緊急時のために足元には夜間灯が点いているが、我が鎮守府では交代制で夜哨の担当班が置かれており、基本的に夜中に叩き起こされて出撃するということもないため、申し訳ばかりの灯りだった。
そんな中この私――駆逐艦・響は、とある目的のために廊下を一人で歩いていた。
当番ではないので夜哨ということはないし、勿論、緊急の出撃でもない。
では、どんな目的でこんな今にもオバケが出てきそうな薄暗い場所を歩いているのかというと……。
…………。
いやはや、しかし、オバケというものは存在するのだろうか。
人間であれば、オバケやら妖怪なんていう存在を信じているような年齢ではないのかもしれない。
しかし、艦娘を生み出す上で魂という概念が確認されている以上、オバケというものがいてもおかしくないのではないか?
……なんかちょっと怖くなってきた。
変なことを考えるべきではなかったかもしれない。
私はそんな自分の思考を振り切る為にも、目的地に向かって足を速めた。
靴が廊下を叩く音が、コツ、コツ、こつ、と……。
……あれ?
…………、……い、いやいや、そんなはずは無い。
気のせいさ、気のせい。
そんな、まさか……自分以外誰もいないはずの廊下で、足音が一つ多く聞こえるなんて……。
そ、そんなはず、ない……よね?
私は自分の身体が、知らず知らずに強張っていくのを感じていた。
しかし、歩みを止めることはできない。
なぜなら、後ろから聞こえてくるそのもう一つの足音は、だんだんと音が大きくなっているのだから。
はやく、はやく。
強張っていく身体とは反対に、脳は足のスピードを上げろと急かしてくる。
できるだけ後ろの気配から気を逸らして、目的地までの道のりを歩き切ることだけを考える。
艦娘の寮である別館から、渡り廊下を渡って本館へ。
階段を駆け上がり、最上階。
そして階段の右側、手前から4つ目の部屋へと飛び込んで、急いで扉を締める。
扉に背を預けて、私は細く息を吐いた。
逃げ切った、という安心感から、少しだけ脱力する。



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