89:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 23:27:53.72 ID:e5rLf//zo
「俺さ」
「うん」
「泣き言言うわけじゃねえけど。最初は有希の方が積極的だったんだよな」
「そうなのか」
「あいつ、去年俺んちの隣に引っ越してきたじゃん?」
「うん」
「最初の挨拶の時からあいつ、学校もクラスも同じだとわかると、毎朝一緒に登校しよう
ってさ」
「ああ」
「そんでおまえと麻衣ちゃんとも知り合って一緒に登校するようになったじゃん?」
「そうだったな」
「でさ、有希ってその頃は、おまえより俺の方をいつも気にしててくれてさ」
「・・・・・・うん」
確かに、それは夕也の言うとおりだった。そのせいで俺は有希に失恋したつもりになっ
たのだ。
「いつの間にか俺の方もマジで惚れちゃったわけさ」
「そうか」
「何かこんな話するの恥ずかしいけどよ」
「まあだけど、有希が俺の方を好きだなんて俺の勘違いみたいだし」
「ちょっと待てよ」
「おまえは俺のことは気にしなくていいぞ」
夕也のやつは、本気で有希が好きなのか。前から察してはいたけれど本人からはっきり
と言われたのは初めてだった。俺は自分の部屋のベッドに横になって考えた。
それなのに、というかそれだからと言うべきなのかもしれないけど、夕也は有希の恋を
応援してるみたいだ。そして有希の恋愛感情は意外なことに夕也ではなく俺の方を向いて
いるらしい。夕也の応援は、多分俺への友情とかじゃなくて、有希への愛情からだろうけ
ど。
だからと言って有希の俺への気持に応えられるかというとそんなに簡単な話ではない。
夕也は俺の親友だ。そのあいつが、有希のことを好きな夕也がここまで配慮してくれてる
のに、俺だけ自分の想いを遂げるわけにはいかないだろう。
妹に慰めてもらいたい。割と切実に。俺はそう思った。あいつは、昼飯は作ってくれな
いわ、帰りも一緒に帰ってくれないわ、いくらなんでも今までと態度変えすぎだろう。今
だって麻衣は自分の部屋に閉じこもっている。
そのとき俺の携帯が振動した。ディスプレイには二見の名前が表示されていた。LINEの
メッセージの着信だった。
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