71:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:19:48.93 ID:V/baVpaao
俺たちは連れ立って校門を出て駅の方に向かう坂道を下っていった。他の生徒の視線を
結構感じながら。
「今日は何か肌寒いね」
「うん」
「もうすっかり秋だね」
「まあね」
「十月の空って一年で一番澄んでいて綺麗に感じない?」
「そんなの気にしたことないからわかんねえよ」
「関心が人間関係に行ってる人は、周りの環境に関心を示さないって聞いたことある」
「何それ」
「何でもない。ついこの間まで夏休みだったのに、いつの間にか空が高いね」
「そうかな。俺にはよくわかんねえや」
「秋って休みが少ないから嫌いだな。早く冬休みになんないかなあ」
「それは少し気が早すぎるだろ」
「まあ、そうなんだけど」
「それに秋から冬ってイベントがいっぱいあるじゃん」
「そう?」
「十一月には学園祭もあるし、十二月にはクリスマスもあるしね」
「そんなのリア充の人専用のイベントでしょ」
「そんなことねえよ。少なくとも学校行事はリア充専用じゃねえだろ」
「ぼっちには辛いイベントなんだよ」
「だから、おまえは好き好んでぼっちやってるんだろ。おまえ、友だちとか作ろうと思え
ばいくらでも作れるだろうが」
「好きでやってるかどうかは別問題だよ。ぼっちに辛いイベントであることには間違いな
いし」
「辛いなら友だち作ればいいじゃん」
「学園祭を一緒に廻ったりとか後夜祭のフォークダンスを一緒に踊ってくれる相手なんて
そんなに簡単にできないでしょ」
「何かおまえならそれくらい簡単にできそうだけどな」
「じゃあ、君は? 君はあたしと学園祭とか一緒に過ごしてくれる?」
「え?」
「何でもないよ。ごめん」
本当に不意討ちだし、二見が何をしたいのかよくわからない。謎の女か。故意にそう演
出しているのなら恐ろしい女だ。
「電車来たよ」
「ああ」
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