65:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:12:49.25 ID:V/baVpaao
「麻人」
有希が元気のない声で俯いて言った。
「おう」
「お弁当作ってきたんだけど、一緒に食べてくれるかな」
もうこの場の俺には、うんという答えしか選択のしようがない。
「うん」
「じゃ、中庭でいい?」
「ああ」
中庭のベンチで、俺と有希は隣り合って腰かけた。今ごろは屋上で麻衣が待っている時
間だけど、有也によれば話しはつけてあるのだと言う。こんな話を受け入れるとは麻衣は
いったい何を考えているのだろう。
「昨日はごめんなさい」
「もう気にしてねえよ」
「本当にごめん。別にあんたの交友関係にあれこれ言う気はなかったんだけど」
「ああ」
「だけど、麻衣ちゃんが寂しそうだったから」
そこで有希は少しためらったように黙った。
「ううん、違うね。正直に言うと」
「何だよ」
本当に何なんだ。
「本当はね。君が二見さんと仲良くしているのを見て少しむかついて、それで麻衣ちゃん
にかこつけて君に文句を言ったのかもね」
「あのな。かもねって、他人事みたいに」
「・・・・・・うん」
「おまえ夕也と付き合ってるんじゃねえの」
「付き合ってないよ」
「じゃあ、聞き方を変えるけど、夕也のことが好きなんじゃねえの」
「ねえ」
「うん?」
「遠慮しすぎることって別に美徳でも何でもないんだね」
「はあ? 何言ってるんだよ」
「・・・・・・君の今の気持ちはわからないけど、中学生のころは、あたしのこと好きだったで
しょ。君」
「お、おまえ何言って」
「あたしもバカじゃないから君の好意には気づいてたの」
「おい」
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