58:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:42:00.57 ID:Xae/YECko
本当にコミュ障どころの騒ぎじゃない。人一倍コミュニケーション能力が備わっている
としか思えない。それに。俺と一緒にいたいというのは何の意味だがあるのだろう。
「ねえ」
「うん」
「携帯の番号とメアド交換しない?」
「・・・・・・別にいいけど」
昼休みなって、俺は麻衣のところに行こうと席を立った。それにしても、登校したとき
の教室の噂ときたらすごかったな。俺はそう思った。いつもぼっちの二見が俺と一緒に登
校すれば噂されても仕方ないのだろうけど、比較すれば昨日二見のお弁当を食った時より
も周りの視線が痛かったような気がする。まあ無理もない。俺と二見はまるで付き合って
いるかのように並んで教室に入ったのだから。
だから噂はしかたないにしても、やはり不思議なのは二見のコミュニケーション能力だ
った。普通、どんな相手でも話が途切れることはあるだろう。まして、俺みたいに口下手
な人間相手ならなおさらそうだ。現に、有希とだって、それどころか家族である麻衣とだ
って、ときには話に詰まり気まずい沈黙が訪れることなんかよくあることだった。それが
二見相手だとないのだ。初対面に近い彼女のコミュニケーション能力に俺が何度も感嘆し
たのはそういう理由だ。二見は聞き上手だということになるのだろうけど、どうもそれど
ころではないような気すらする。
とにかく妹を待たせるとまた麻衣の機嫌を損ねるかもしれな。早く屋上に行くべきだろ
う。教室から廊下に出ようとしたところで、俺は夕也につかまった。
「ちょっと待て」
「何だよ」
「落ち着いて聞けよ。暴力は振るうんじゃないぞ」
「何言ってんのおまえ」
「今日の昼は有希と二人で食ってやってくれ」
「はい?」
何言ってるんだこいつ。
「あいつがおまえに何か話があるんだって。だから頼むからそうしてくれ」
「よくわかんねえんだけど。つうか俺、妹を待たせてるんだけど」
「そこに抜かりはねえよ。麻衣ちゃんにはさっきの休み時間に了解をもらっているから
よ」
「ってもおまえ」
「あいつもあそこで待ってるから。今日はあいつ、おまえに弁当作ってきてるからさ」
廊下の端に手提げ袋を提げた有希の姿が見えた。
「じゃ、早くってやってくれ。あいつも待ってるから」
「おい、ちょっと待てよ。おまえはそれでいいのかよ」
一瞬、夕也が沈黙した。
「・・・・・・いいのかってどういう意味だよ」
「だっておまえら付き合ってるんだろ。何で俺と有希を二人きりにしようとする」
「付き合ってなんかねえよ」
何なんだいったい。
「あいつはおまえと仲直りしたいんだよ。頼むからそれくらい聞いてやってくれよ」
「何でそこまで必死なんだよ」
「別に必死じゃねえし。じゃ、俺はおまえの代わりに麻衣ちゃんのお弁当を頂いてくるか
らな」
「おい、ちょっと待て。何でそうなる」
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