女神
1- 20
458:名無しNIPPER[sage]
2017/09/13(水) 00:02:24.15 ID:yJtoOnGFo

 一度そういう意識になると、もう俺には優しか見えなくなった。あれだけ、昔から好き
だった姉さんを裏切っているという意識さえ遠のいていくほどに。

「何か難しい顔をしてるね」

「難しい顔ってなんだよ」

「何か悩みでもあるんですか。聞いてあげようか」

 ふざけるな。悩みの原因はおまえだ。

「君って最近、何か元気ないしさ。ちゃんとご飯食べてる?」

「うるせーよ。食ってるよ」

「私さ、人の悩み聞くの得意なんだよ」

 そう優は言った。

「意味わかんね。カウンセラーみないなの?」

「まあ、そんな感じ。別にプロってわけじゃないけど」

 そうなのかもしれないけど、俺がおまえに抱いている感情とか相談できるわけないじゃ
んか。そういうわけで、俺の感情面とフラストレーションは、優び相談することはなかっ
たのだ。

「変なの」

 優はそう言った。

 俺は珍しく勇気をふり絞った。

「おまえが、優のことが好きなんだよ。それが悪いことかよ」

 優は少しだけ、俺の顔を見て、すぐに視線を逸らした。

「ごめん」

「ひょっとして俺って、振られたの?」

「・・・・・・ごめん」

「ふざけんなよ。ごめんじゃねえだろ」

 女の子に振られ経験がないわけじゃないけど、これほど喪失感を感じたのはこれが最初
だった。

「ごめん」

「いや。俺の方こそごめん」

 これでは謝りあっているだけだ。何も話が進まない。

「あのさ。はっきり聞くけど」

「うん」

「石井先輩のことが気にならないならさ。おまえ」

「うん」

「今は好きなやつとか気になるやつとかいるの?」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
468Res/896.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice