456:名無しNIPPER[sage]
2017/09/12(火) 23:59:52.65 ID:mEsaNNkyo
それから彼女は、以前よりはスマホに目を落とさずに、俺の話を聞いてくれるようにな
った。というか、自分語りまでしてくれるようになったけど、それは結構悲しい話だった。
「自分に興味を持ってもらえてさ、私の話を聞きたいって言ってもらったことがないんだ
よね。石井先輩と会うまでは」
「俺は、結構お前の話聞くのが好きだぜ」
「ありがとう」
この冷徹女が少しだけ顔を赤くした。
「いや、マジで。石井先輩ほどかどうかはわからないけど」
「石井先輩はさ」
「何?」
「まあ、いいや」
「唯のことなら気にするなって言ったろ。あれはあいつの暴走だし」
「違うって。もうその話はいいよ」
「まあ、おまえがいいならそれでいいけどさ」
「うん。それはもういいの。大丈夫だから」
「そんならいいけど」
本当に大丈夫かどうかはわからないけど、そう言うよりなかったのだ。
本当のところどうなのか、彼女の胸の内はわからないけど、この頃になると俺も自分の
気持ちに気がつき始めていた。まじでこいつのことが、二見のことが気になっているのだ。
こいつのことが好きなのだ。多分、俺は。といっても姉さんのことがどうでもいいわけじ
ゃない。ただ、姉さんはそばにいないけど、優は毎日一緒に登校してくれる。自分でもた
ちが悪いと思うけど、素直に考えれば、俺は自分のそばにいてくれる女の子、それもきれ
いな女の子である優を好きになっていたのだろう。
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