女神
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420:名無しNIPPER[saga]
2017/01/31(火) 23:14:24.41 ID:ooGZg3gbo

 あたしはそこで助け舟を出してあげることにした。相変わらず二見さんに対し、得体の
知れない優越感を覚えながら。

「まあクラスの人以外だと・・・・・・あ、そうだ。生徒会長が尋ねてきたよ」

 二見さんの表情が一瞬明るくなった。

「先輩、志望校に合格したんだって。嬉しそうだったよ」

「それで、何か他に言ってなかった?」

「他にって・・・・・・ああ、そうそう。あんたが転校するってこと会長は知らなかったんだよ
ね。あんたと会長って仲良しなのかと思ってたのに」

 あたしは微笑んだ。

「え? 浅井さん、あたしが転校するって先輩に話したの?」

「うん。話したけど、何か都合悪かった?」

「・・・・・・引越しの日を遅らせて自分で話そうと思ってたのに」

 二見さんは低い声で言った。その言葉はあたしにはよく聞き取れたけどあえてあたしは
聞き取れなかった振りをした。

「ごめん。今何て言ったの? よく聞こえなかった」

「何でもない。それで先輩、それを聞いて何か言ってた?」

「別に何も。そうなんだって言っただけだったよ」

 あたしは自分の一番の微笑みを彼女に向けたのだった。

「あとさ、高校合格祝いに今日からどこかに卒業旅行に行くんだって。しばらく連絡が取
れないけど生徒会をよろしくって言われた」

 二見さんの表情が青くなった。

「浅井さん、会長の携帯の番号とかメアドとか知ってるかな」

 二見さんのいつもような余裕のある態度は今ではどこかに行ってしまっているみたいだ
った。

「ええ〜。そんなの知らない。優ちゃんこそ会長と仲良しなのに何でそんなことも知らな
いのよ」

 彼女はそれを聞くともうあたしには話しかける価値がないと判断したようだった。

「じゃあ、あたし帰るね」

「うん。優ちゃん東北に行っても元気でね」

「うん。じゃあ、さよなら」



 ・・・・・・さよなら。もうあんたは二度と戻ってくるな。石井生徒会長のことはあたしが責
任を持ってケアしてあげるから。


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