女神
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393:名無しNIPPER[saga]
2016/11/02(水) 21:55:59.19 ID:P+eNXBC9o

「どうしたの?」

 唯ちゃんが言いました。何か,少しだけふざけているような口調で。

「もしかして誰か探してる?」

「ええ・・・・・・まあ」

「優ちゃんの転校って急だったもんね。お別れを言えなかった人もいるんじゃないの」

「あのさ、唯ちゃん」

 普段は人に媚びることのない優ちゃんが、唯ちゃんに縋るような目を向けました。

「あの。あたしが職員室に行っている間、誰かあたしを尋ねてこなかった?」

「誰かって? 何人も教室を出入りしてたけど。例えば誰?」

 優ちゃんはためらった様子でした。

「まあクラスの人以外だと・・・・・・あ、そうだ。生徒会長が尋ねてきたよ」

 優ちゃんの表情が一瞬明るくなった。

「先輩、志望校に合格したんだって。嬉しそうだったよ」

「それで、何か他に言ってなかった?」

「他にって・・・・・・ああ、そうそう。あんたが転校するってこと会長は知らなかったんだよ
ね。あんたと会長って仲良しなのかと思ってたのに」

「え? 唯ちゃんあたしが転校するって先輩に話したの?」

「うん。話したけど、何か都合悪かった?」

「・・・・・・引越しの日を遅らせて自分で話そうと思ってたのに」

 優ちゃんは低い声で言った。

「ごめん。今何て言ったの? よく聞こえなかった」

「何でもない。それで先輩、それを聞いて何か言ってた?」

「別に何も。そうなんだって言っただけだったよ」

「あとさ、高校合格祝いに今日からどこかに卒業旅行に行くんだって。しばらく連絡が取
れないけど生徒会をよろしくって言われた」

 優ちゃんの表情が青くなったことが、ドアの陰にいたあたしにも見てとれました。

「じゃあ、あたし帰るね」

「うん。優ちゃん東北に行っても元気でね」

「うん。じゃあ、さよなら」

 優ちゃんがあたしの隠れていた反対側のドアから出て行ったあと、あらためて唯ちゃん
の表情を見ました。優ちゃんが出て行ってすぐ、彼女は、なんだかすごくうれしそそうな
笑顔を浮かべていました。

 何でこんな嘘を言うんだろう。あたしは当時そう思ったjけど、この後先輩に会うこと
もなかったし、そのうち唯ちゃんの不思議な行動のことは忘れていました。今日、先輩に
会うまでは。


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