女神
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366:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:09:56.47 ID:JF3eK7aYo

「それにしても、具合の悪い唯さんが、なんでうちの学校の生徒会なんかに来たんだろう
ね」

 会長が聞いた。そう言われてみればそうだ。

「外出できないほど、体調不良じゃなかったんでしょうね。病院に行くのに、付き添いの
浅井先輩のところを訪ねたとか」

 私は推測して答えたけど会長は疑わし気に首を傾げた。

「そんなことわざわざするかな。うちの学校で倒れたんでしょ? 倒れるほど具合が悪い
なら、病院とか最寄り駅とかで待ち合わせするんじゃないかな。救急車を呼ぶほどじゃな
くても」

「唯さんの体調不良って嘘だって思ってるんですか」

「そこまでは考えてないよ。でも、うちの学校に来て優に会いたいとか僕に会いたいとか
って、病気の時にわざわざするものかな。あれからずいぶん時間がたっているのに」

 そう言われてみればそうだけど、だからといってそのことに対する答えはすぐには思い
つかない。

「唯さんの告白を断ったことを話した時の優の反応だけど」

 会長が話を変えた。

「今にしてみれば冷たすぎたような気がする。あの当時彼女に夢中だった僕でさえ違和感
を感じたほどに」

 会長は当時を思い出しそして推理しようとしていたのだろう。会長が少しづつ思い出し
て語ってくれたその当時の出来事とは。



『先輩、何であの子の告白断ったの?』

 二見さんの質問に、当時は彼女さんにベタ惚れしていた会長が答えた。

『僕は、君のことが好きだからね。浅井さんと付き合うなんて考えられないよ』

『ふーん。そうなんだ。唯ちゃん、可哀想』



 二見さんはそれだけ言って、もう唯さんのことはどうでもいいとばかりに、自分が最近
考えていることを話し始めた。

 その時の二見さんの反応があまりにも淡白だったせいで、珍しく会長の中に彼女への反
発心が湧き出してきたそうだ。

 会長の心の中に唯さんの緊張して泣き出しそうな顔を思い浮かんだとか。これでは、あ
んまりだ。僕の気持ちも浅井さんの気持ちも救われない。会長が思い出した事実やその時
先輩が抱いた感情とはこういうことだったそうだ。

「でも違和感と言うのはどういうことなんですか?」

 私は聞いた。思春期の少女の略奪的な恋愛衝動なんてよくある話だし、女性経験が少な
い会長が自分を好きになった唯さんを聖女みたいに祭り上げていたせいで違和感を感じる
だけではないのか。

 二見さんの冷たい反応だって、普段から他人に関心を抱かなかった彼女の姿を知ってい
た私には別に意外とも思えなかったのだ。

「ここから先は完全に僕の想像なんだけど」

 石井会長が話を再開した。


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