352:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 22:41:57.64 ID:IwnlMYSho
「先輩、助かりました」
祐子ちゃんが素直に言った。
「イベントの持ち時間の最初の割り振りを間違ったのはまずかったね」
会長が冷静に言った。
「今日はあいつらを何とか宥めたけど、これであいつらは下手すると二、三日徹夜で演目
の組み換えになるな」
「ごめんなさい」
偶然にも私と祐子ちゃんの声がだぶった。少しだけそのことに会長は微笑んだ。
「副会長はどうしたの」
その時会長が言った。
「昨日から生徒会に顔を出してません。何か妹さんが具合が悪いとかで」
私は答えた。
今まで自分の失敗が巻き起こした騒動を反省して元気のなかった祐子ちゃんの顔がその
時ぱっと輝いた。
「それがですね」
彼女は嬉しそうに言った。
「先輩、中学の時の生徒会の副会長だった唯さんって知ってますよね」
「え?」
思いがけないことを聞いたというように会長が声を漏らした。
「知ってるけど・・・・・・彼女がどうかしったの?}
「へへ。特種ですよ、先輩。唯さんって子、浅井先輩の妹なんですって」
「あいつが浅井の妹・・・・・・?」
「そうなんです。それでね、唯ちゃんって昨日ここに浅井先輩を迎えに来たんですけど、
その時大変だったんですよ」
「大変って、何かあったのか」
「またまたとぼけちゃってえ。唯さんが石井会長に会いたいって駄々をこねて副会長が苦
労してました・・・・・・会長、唯ちゃんと何かあったんですか?」
「別に。何もないよ」
会長はもう驚きを克服したようでいつものような冷静な表情と口調に戻っていた。
「多分、その唯さんって中学時代に生徒会の役員同士だったってだけで」
唯さんは先輩のことが好きだったのかもしれないな。私はそう思った。
「あ、そうだ。忘れてたけど唯さんって子、こんなことも言ってましたよ」
会長の反応が思っていたより薄かったせいか、少しがっかりした様子で祐子ちゃんが言
った。
「彼女、会長は今いないって副会長に言われたら、今度は二見 優さんに会いたいって言
ってました」
祐子ちゃんは今度は私の方に向って言った。
「二見さんってあの噂の人でしょ? あなたの同級生だよね」
今度こそ会長の表情は本当に凍りついた。そして、会長は何も言わずに黙ってしまった。
「誰にでも裸を見せるっていう二見さんと、浅井副会長の妹さんの唯ちゃんって、どうい
う知り合いなんでしょうね。そういえば同じ中学だもんね」
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