308:名無しNIPPER[saga]
2016/07/13(水) 22:33:42.00 ID:EEZv3dvio
何コマかの授業が終わり昼休みになった。正直、食欲なんかなかったし、授業の内容す
ら全く理解できていなった俺を、有希と夕也は中庭に連れ出した。中庭には最近は俺と一
緒に行動しようとしなかった、麻衣が待っていた。こうしてこの四人で一緒に昼飯食うなんて久し振りだ。
・・・・・・やっぱり、この四人の関係っていいな。俺はそう思った。こんな時なのに本当に
救われる感じがする。こいつらがいてくれなかったら、今日は途中で家に帰っていただろ
う。
「お兄ちゃん、食欲ないの?」
これ以上こいつにも心配かけるわけにはいかなかった。
「いや、そんなことないよ。おまえの弁当久し振りだけど、やっぱりおまえ料理上手だ
な」
「今更何言ってるの。麻衣ちゃんは今すぐ結婚して奥さんになっても大丈夫なほど料理は
昔から上手だったじゃない」
有希が笑ったって言った。
「お姉ちゃん、やめてよ」
「・・・・・・いや、それは本当にそうだし、俺も前からよく知ってるけど。何か、最近さ。麻
衣の弁当とか食ってなかったから新鮮でさ」
「麻衣ちゃんに惚れ直したか」
夕也の言葉を言いて、麻衣は再び沈黙してしまった。
「あんたはこんな時に・・・・・・ばか」
「悪い。変な冗談言ってすまなかった。今はそんなこと言ってる場合じゃねえよな」
「いや、俺は別に」
「謝るよ麻人。悪かった」
「もうわかったって」
「気にしないで、夕さん」
「ああ。もう言わねえよ。それよかさ、二見のことだけど」
「夕也、それは・・・・・・」
妹が俯いてしまった。
「うん。そんなに気にしてくれなくていいよ。みんな知ってるんだろ?」
俺はそう言った。今さら、俺のことを考えてくれているこいつらに事実をとりつくろっ
たってしかたがない。
「・・・・・・うん。裏サイトに書かれてたし。2ちゃんねるでも」
「あたしも読んだ」
有希が目を伏せてそっと言った・
「っていうか今日の教室の雰囲気だと、大部分のやつらが既に知ってそうだな」
夕也が冷静にそう言った。
「・・・・・・言い難いんだけど、一年生の教室でも噂になってる。というか二見先輩の、そ
の」
「何?」
夕也が聞いた。
「お兄ちゃんごめん。二見先輩の下着だけの写真とか」
俺はその時何も言えなかった。本当に何も。
「麻衣ちゃん・・・・・・」
「二見が縛られてるみたいなポーズの写真とか、男の子たちが携帯で見せあって・・・・・・」
その写真を撮影したのは俺なのだ。両親から妹を撮影するように言われて渡されたカメ
ラを使って。
「・・・・・・麻衣ちゃん、泣かないの」
「・・・・・・ごめん」
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