女神
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232:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:37:55.84 ID:my8qAWPQo

 麻衣が示してくれた好意に有頂天になっていた僕は、麻衣を助けている自分自身に生じ
るかもしれないリスクについてはこれまであまり考えてこなかった。でも一度それに気が
つくと、今まで冷静に優を破滅させる手段について考察していた自分が、いかに考えが甘
かったか理解できるようになった。これまで麻衣の甘い好意の片鱗に夢中になっていただ
けだった僕は、自分に生じるかもしれないリスクに初めて戦慄とした。

 僕は、優と池山君を別れさせることに協力すると麻衣に約束してしまっている。麻衣が
求めれば、それがどんなに危険な道であっても僕にはもう断れないだろう。せめて、その
手段が優に与えるダメージの大きさに麻衣がためらって、そこまでするのは止めようよと
言ってくれるのを期待するしかなかった。

 その時、突然僕は誰かに頭を叩かれた。

「こら。あんた何で昨日話の途中で生徒会室から逃げ出したのよ」

 暗い考えから我に帰ると、副会長が僕を睨んでいた。

「あの後、遠山さんが落ち込んで大変だったんだよ」

「悪い。部活があったから」

 僕はもう何度目になるかわからないその言い訳をもごもごと口にした。

「本当に情けないなあ、あんたは。別に身近な生徒会の役員の子に告るのは自由だけど、
告られた遠山さんに生徒会をやめるとか言わせるなよ」

「僕はそんなつもりは」

「じゃあ何で生徒会室に来ないのよ。何で遠山さんをあからさまに避けて彼女に気を遣わ
せてるの? あんた彼女が好きなんでしょ。振られたとしても彼女の気持ちを考えてあげ
なさいよ、先輩なのに情けない」

 副会長も相当僕に言いたいことが溜まっているようだった。確かに無理もない。こいつ
は僕の代わりに学園祭の実行委員会を仕切ったり、僕を振って傷つけたと思い込んで落ち
込んでいる遠山さんを宥めたりさせられていたのだろうから。

 自分の悩みで精一杯だった僕も、その時は副会長に申し訳ない気持ちがあった。今の僕
は自分の義務を放棄して麻衣のことしか考えずに行動していたのだから。

「君には悪いと思っているけど・・・・・・」

 そうして僕が副会長に謝ろうとしたその時、僕の片腕は誰かに抱きつかれ急に重くなっ
た。僕はいきなり抱きついてきた麻衣に気がつき言葉を中断した。そして、僕を更に責め
たてようと意気込んでいたらしい副会長も驚いたように黙ってしまった。

「先輩は何も悪くないです」

 麻衣は僕の左腕に自分の両手を絡ませながら、おそらく面識もないであろう副会長を睨
んでそう言った。

「あんたは」

 副会長が言った。面識はないかもしれないけど、校内の男女関係の噂が好きな彼女は麻
衣のことは知っていたようだった。

「たしか、遠山さんの知り合いの池山さんだっけ」

 麻衣はそれには答えなかった。

「先輩は悪くないです。あたしがパソ部に入部して、それで何もわからないでいることを
心配してくれて面倒見てくれてるだけで」

「・・・・・・」

 副会長はとりあえず僕への悪口を中断し、むしろ当惑したように僕の方を見た。副会長
には、僕の腕に抱き付きながら自分を睨んでいる麻衣の姿はどう映っているのだろう。

「あんたさ・・・・・・」

 副会長はとりえず麻衣を相手にせず僕に向かって吐き捨てるように言った。

「やっぱり女を乗り換えてたのか。遠山さんに振られたからって、すぐに下級生に言い寄
るとか最低だね。しかも遠山さんの親しい相手の子にさ」


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