女神
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227:名無しNIPPER[saga]
2016/05/04(水) 21:13:26.98 ID:mt1lqNZYo

「難しいだろうね。僕が池山君の前に突然現れて、女神行為をするようなビッチは君には
ふさわしくないよ。妹さんも心配してるよ、なんて言っても池山君は聞き入れないだろう
し」

「先輩、あたしのことからかってるの?」

「違うよ。でも池山君は二見さんの画像を全部見ているし彼女の女神行為のことは全部承
知のうえで彼女に惹かれてるんでしょ」

「・・・・・・そうかも」

「だったら、正攻法で行っても池山君が二見さんのことを嫌いにさせるのは無理じゃん
か」

「・・・・・・じゃ、諦めるしかないの?」

「そうは言っていない。池山君と二見さんが付き合わないようにする、あるいはもう付き
合っているんだったら別れさせることは可能だよ」

「どうするの?」

 麻衣は細い声で言った。

 本当に気がついていないのだろうか。それともわざと僕の口から提案させようとしてい
るのだろうか。僕は迷った。僕は自分が当初想定していたシナリオから逸脱し、いつのま
にか僕の方から積極的に作戦を提案するような立場に追い込まれていた。

 ここに至って再び躊躇したけれど、結局麻衣への執着心が僕の理性を制圧してしまった。
麻衣は僕の第一印象よりは清純な女の子ではないかもしれないけど、優とは違って複雑な
思考の結果、僕を利用としようとするような子ではないに決まっている。盲目的な麻衣へ
の執着が僕の心の中の小さな葛藤に勝利したようだった。僕はその手段を麻衣に話し出し
た。

「言っておくけど、これをやれば池山君と二見さんは別れるだろうけど、そのかわり二見
さんには相当ダメージがあるし、池山君だってそれなりに傷付くと思うよ」

「・・・・・・いったい何をする気なの?」

 麻衣は完全にことが僕主導で運ぶものだと思い込んでいるような口調で言った。でも麻
衣に執着していた僕は心の中の麻衣の言動への疑問は押さえつけてしまっていたから、僕
はその続きを話すことにしたのだった。

「何をって、簡単なことだよ。二見さんの女神行為を先生にばらせばいいんだよ。ミント
速報のURLを担任に送付するだけじゃん」

 そのことが意味することは麻衣にも理解出来たろう。それはある意味、優の人生を少な
くとも優の高校生活を破壊することに繋がる行為なのだった。

 麻衣は黙り込んだ。ここまで深入りしてしまった僕だけど、麻衣のゴーサインがはっき
りと示されなければこれを実行するつもりはなかった。今度は僕も妥協する気はなかった。
麻衣が何か話出すまではもう自分も黙っているつもりだった。

 屋上から見下ろす町の建物からは灯りがあちこちに点き出していた。空も薄暗くなって
きていて、完全下校時刻ももうすぐだった。これで麻衣が決断しないなら今日はここまで
にしよう。

 下校時間のアナウンスが流れだした。僕は麻衣の方を見ないで立ち上がった。

「今日はもう帰ろう。校門も閉まっちゃうし」

 僕はそう言ってモバイルノートをカバンにしまおうとしたとき、麻衣が立ち上がって僕
の方を見つめたた。

「あたしが頼めば、先輩は協力してくれるの?」

 ようやく麻衣がそう言った。協力してくれるのと。そう、これはやるとしたら麻衣のた
めに僕がすることではない。麻衣のために僕が協力して、麻衣自身がこれをやるのだ。

「君に協力するよ。二見さんにはひどい仕打ちになるだろうけど、僕は君のことが好きだ
から」

 麻衣は僕の手を握った。

「先輩、あたしに力を貸して。あたし決めた。二見さんがどうなってもいいから、二見さ
んからお兄ちゃんを引き剥がしたい」

 僕は僕の手に重ねられた麻衣の小さな手を握り締めた。それはすごく冷たい感触だった。

「じゃあ、明日から始めようか」

 麻衣は小さく頷いた。


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