130:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 21:16:10.18 ID:VyTyW24Co
「ただいま」
・・・・・・両親がいないのはいつものことだけど、今日は妹もまだ帰っていないようだ。二
見を家まで送ったせいで、麻衣の方が先に帰っているのかと思っていたんだけど。玄関の
ポストをのぞくと、何か伝票のような薄い紙が入っていた。俺はその紙片を手に取って眺
めた。
『ご不在でしたので明徳集配センターでお預かりしています。下記までご連絡ください。
お預かりしているお品物:MEC製ノートパソコン』
ノーパソ? いったい誰が買ったんだろう。親父だろうか。いや親父はモバイルノート
を持っている。まさか母さんから俺へのプレゼントなのか。そんなわけはない。頼んでも
いないのに、高価なパソコンを買ってくれるような母親じゃない。
『池山麻衣様』
妹がパソコン? 俺だってリビングのパソコンを使ってるのに何でこいつだけノーパソ
買ってるんだよ。つうか妹のお小遣いで買えるもんじゃねえだろ。絶対親に買ってもらっ
たに違いない。親父め、麻衣だけえこひいきしやがって。それにしても、リビングのパソ
コンだってたまにしか使わない麻衣が、何でノーパソなんて親にねだったんだろう。学校
の授業で必要なのか? いや、俺が麻衣の学年だった時にそんなことを学校に求められた
ことはない。考えてみれば不思議なことだった。それよりも、大げさかもしれないけど麻
衣がパソコンを買うなんていうこと自体を、あいつが俺に黙っているなんてこれまでの関
係からすればありえない。
「最近、麻衣ちゃんあんたのこと避けてない?」
「麻衣ちゃんは麻衣ちゃんなりにあんたのことを考えて、でも自分の気持に嘘つけなくて
悩んでるんだと思うよ」
こういうこともそのせいなのだろうか。最近は、かつてとは違って自宅で麻衣と過ごす
時間が極端に減っている。麻衣が、二見と俺とのことを知っているわけはないと思うけど、
それでもその影響が我が家に、俺と麻衣との関係に波及しているみたいじゃないか。
さすがにそれは考えすぎだろうけど。でも、有希の話を聞いた後ではすごく気が重いけ
れど、俺にも彼女ができたって、そしてそれは二見だって麻衣に報告しなきゃいけないん
だろう。パソコンなんかどうでもいいけれど。とにかく麻衣とじっくり話をしないと。
リビングで漫然とテレビを見ていると、もう八時になってしまった。買い物でスーパー
に寄っているにしても遅すぎる。麻衣はまだ中学生だ。さすがに心配になった俺は、麻衣
の携帯に電話した。案ずるまでもなく、麻衣はすぐに電話に出た。内心俺はすごくほっと
したけど、一応兄として厳しい声を出してみた。
「おまえ、もう八時過ぎてるぞ。今どこで何してるんだよ」
『もうすぐ家につくから』
「遅すぎだろ。それに遅くなるならメールくらいくれよ」
『ごめんごめん。ちょっと買い物とかで遅くなっちゃって』
「そんならいいけど。帰ってから飯の支度? 俺腹減ったんだけど」
『。もう遅いし、悪いけどカップラーメンとか食べてくれる?』
「まあ、いいけど」
『じゃあ、電車来たから』
「電車っておまえ、今どこに」
468Res/896.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20