124:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 21:10:16.61 ID:VyTyW24Co
「もう一つだけ聞いていい?」
「いいよ」
「二見さんを好きになる前ってさ。あんた、あたしのこと好きでいてくれた?」
「何でそんなこと」
何でそんなことを今さら蒸し返すのか。
「お願いだから答えて。もうこれであんたを困らせたりしないから」
冷静に話しているような有希の手が震えていることに俺は気がついた。なんだかとても
胸が痛い。ここで嘘はついちゃいけない。俺はそう思った。
「昔からずっとおまえのことだけが好きだったよ。二見のことを好きになる前は」
「そうか、そうだよね」
「うん」
「あーあ。うまく行かないよね。あんたがあたしを想っていてくれていた頃は、あたしは
麻衣ちゃんに遠慮しててさ。それであんたのことを忘れようとして夕に近づいたら、今度
はあんたが夕也に遠慮しちゃって」
「そうかもしれないな」
このときの俺の声はかすれていたと思う。
「そんなことやってるうちに、あんたは新しい恋を見つけちゃったのね」
「めぐりあわせが悪かったのかな、俺たちって」
「うん」
「ねえ?」
「うん」
「これからも友だちっていうか、幼馴染でいてくれる?」
「あたりまえだろ」
「よかった。あたし、これ以上あんたを困らす気はないけど」
「ああ」
「心の中でさ、彼女ができた好きな人のことを想い続けるのはあたしの自由だよね?」
「・・・・・・どういうこと?」
「あんたのこと諦めないって言ってるの」
「有希。あのさあ」
「あんたと二見さんの関係を邪魔したりはしないいよ。でもあんたのことを好きでいるこ
とはあたしの自由でしょ」
「何言ってるの」
「二見さんとのことを邪魔する気は全然ないけど。二見さんとあんたじゃ合わないと思う
し」
「おまえ何言って。俺じゃあ二見にはつり合わないってこと?」
「そうは言ってないけど」
「じゃあどういう意味?」
「言ったとおりだよ。あんたと二見さんは合わない。だから長続きしない」
「何言ってるのか全然わからないんだけど」
「わからなくてもいいけど。とにかくあたしはあんたが二見さんと付き合ったとしても、
あんたのこと好きでいるから」
「・・・・・・夕也のことは?」
「嫌いじゃないよ。でももう自分にも他人にも嘘つくのやめたの。麻衣ちゃんのおかげで
いろいろ目が覚めた」
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