末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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586: ◆54DIlPdu2E[saga]
2018/01/29(月) 01:14:53.00 ID:ej98zEbh0
現実世界の、かつての王城の庭園……

師匠「菫花、そんなわけで執事達も末妹嬢達も無事だ、安心せい」

王子「ああよかった、本当によかった……」ウルウル

師匠「我々と野獣の三人だけになった途端、儂の魔力の一部を制御していたものが外れた……そんな感覚になった」

師匠「野獣もこんなことを言ってたな」

(野獣「どうやら、今の私は自分の意志でいつもの夢の世界に戻ることができそうです」)

(野獣「自力で戻れるという強い確信があります……屋敷の応接間から寝室に入るように容易く」)

師匠「そう言って、あいつは『帰った』……末妹嬢が持つ欠片の影響がなくなったせいだろう」

師匠「野獣から離れた欠片は、本体と影響しあう時はあっても、すでに別物として……成長もしている」

師匠「……ま、そのへんは後でいくらでも考える時間はあるな、それより……」

師匠「ほれ、いつまで感慨に浸っとる」

師匠「もう人払いの結界も解いた、大の男が涙ぐんでいては、人々が不審に思うではないか?」

王子「は、はいっ」

師匠「儂らはこれから、敢えて歩いて屋敷に帰らねばならんのだぞ?」

師匠「とは言え少し疲れた、魔力も使い果たした……宿に戻って休もう」

王子「ええ、そうですね……」

王子「……今夜はよく眠れそうです」

師匠「さあ、行くぞ……と、その前に、別れの挨拶をして行くか?」

王子「……ここにはまた来ることができます、来ようと思えばいつでも、そんな場所の一つになりました」

王子「ですから……今回は」スッ

王子「……また来ますね、父上、母上」

王子「今度は230年も間を開けませんから、必ず……」

王子「……終わりました。行きましょう、師匠」

師匠「ああ……また来よう、お前と儂でな……」

……


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