末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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56: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/12/27(日) 02:07:40.45 ID:YHo0sFHs0
(野獣「それで……帰ったら父親に、教師になりたいという話をするのかね?」)

(末妹「ええ、私は来年で15歳になるので、今の学校に通えるのはあと1年くらいなのですが」)

(末妹「その後の進路について、卒業までに決めなくてはならないので」)

(末妹「いずれにせよ、そろそろ父とそういう話をしなくてはならない時期なのです」)

(野獣「ふうむ、それならば特に改まる必要もなく、自然に将来の話ができるわけだな」)

(末妹「……同級生の中でも、将来の事をはっきり決めている子達と比べたら、遅いくらいですけどね」)

(末妹「父は以前から『お前が望む道に進めばいい』と言ってくれています」)

(末妹「私達の先生が前にお話ししてくださった事がありますが、先生になる方法はいくつかあって」)

(末妹「方法によっては、きっと父も賛成してくれると思います」)

(野獣「つまり、必ずしも今の家を遠く離れるとは限らない、というわけか」)

(末妹「……やっぱりそれがうちの父にとって重要だって、野獣様にもわかりますか?」)

(野獣「そりゃあな、商人の人柄と言うか、お前への接し方を知れば…」)

(野獣「……」)

(野獣「……今ならば、彼がお前を、親が我が子を慈しむ心がどんなものか」)

(野獣「バラを折った行為を咎めた時とは比べ物にならぬほど、私にも理解できる…少なくともそのつもりでいる」)

(末妹「野獣様」)

(野獣「四週間前に、末妹と次兄とは二度と会わぬつもりで家へ帰した時は、お前たち家族への罪悪感でいっぱいだったが」)

(野獣「今はそれとは別の想いがある」)

(野獣「よくぞ再び、ふたりをこの屋敷へ送り出す事を許してくれたと……」)

(野獣「どれほど感謝しても足りないほど感謝している、お前達の父…お前達の家族に…心から」)

(末妹「ええ、野獣様……」コクリ)
 


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