末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[saga]
2017/02/05(日) 21:09:17.68 ID:51bwU4QR0
王子「それもまた……当人達の想いは置き去りにして」
師匠「……」
師匠「正直……周囲も、人柄や適性の面で先王や第一王子には及ばないと充分理解はしていた」
師匠「当人達もお互い気の進まぬ婚姻ではあったが逆らえるはずもなく」
師匠「二人とも自尊心と義務感はあった、これからは国を支配する存在として生きなくてはならないとは決意したのだろう」
師匠「だから、世継ぎとなる子を成すのも必要だと理解していた」
王子「師匠」
師匠「ん?」
王子「……僕を身籠った頃の母は……父は……」
王子「何を、思った……でしょう……?」
師匠「ふむ……」
師匠「お前の母親が身籠った頃が、お前の父が王になって最も王宮の雰囲気は良かった頃かもしれん」
師匠「立て続きの兄や父の死、婚約破棄、それらからようやく王妃が立ち直ってきた時期でもあり」
師匠「亡くなった父や兄とも血の濃い世継ぎが生まれるのは喜ばしかったに違いない」
師匠「先王の直系ではなかった王も」
師匠「先王の孫である子の父となることで、その引け目を払拭できると思ったのだろう」
王子「……でも、期待されて生まれて来たのは……」
王子「今ならわかりますよ、比べられた義兄達に負けないほど優秀な王子が息子ならば、父はもっと僕を」
王子「自分の兄達の生まれ変わりのように優秀な息子ならば、母はもっと僕を……」
師匠「菫花……」
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