末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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433: ◆54DIlPdu2E[saga]
2017/01/19(木) 00:14:17.22 ID:rAAmjg0o0
野獣「お前には私の近くに控えていてもらいたいが」

野獣「もしも私が裏庭に出る必要が起きたならば、私が呼ぶまでは出入り口から顔を出さずに待機していてくれ」

執事「はい」

野獣「……お前には何を頼むかはその時になってみないとわからんが」

野獣「人間の亡骸を運び出しどこかに埋める……最悪の場合はそれを手伝ってくれ」

執事「仰せのままに」

野獣「まあ、万が一の話だからな? ふたりとも」

執事「ええ、今の心構えが無駄に終われば、それが一番よい結果に決まっています」

料理長「メイドちゃんが恐れないほど優しそうな人間ですよ」

料理長「人間の世の中できつく禁じられている盗みを働くようなお方とは思えません」

野獣「そう、あの実直そうな、しかもバラがそう珍しくもない程度には裕福そうなあの男が」

野獣「他人の庭のバラをもぎ取るなど、するはずもないと……信じたい」

野獣(……それでも、起きてしまったら?)

野獣(その状況で、彼を生かし且つ屋敷での暮らしを守れる道を探れるだろうか?)

野獣(……私はもう簡単には死ねない、執事達と出会ってしまったから)

野獣(なのに……森で迷う旅人を放ってもおけなかった)

野獣(どうか、九千九百九十九であってくれ)

野獣(今となっては願うしか、祈るしかできない)

野獣(何事も起きるな、無事に過ぎてくれ、と……)

…………

万に一つが起きる、その前夜の野獣たち……

……………………



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