末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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34: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/12/11(金) 00:05:00.22 ID:t40CHnQU0
その夜……

(野獣「……次兄……」)

(次兄「…んぇ?」)

(野獣「次兄よ、こんばんは」ニコ)

(次兄「え……?」キョロキョロ)

(次兄「あれ、俺ひとり?」)

(次兄「野獣様、お願いやっぱり聞いてなかったんですね?」)

(次兄「って言うか、一応は最後の夜なんだからもっと末妹に時間を割いてあげてくださいよ」)

(野獣「お前のお願いならちゃんと聞いていたぞ」)

(野獣「その上で、最初にお前一人を呼び出すことにした」)

(野獣「……気になる涙だったからな」)

(次兄「……」)

(次兄「そんなにレアではないと思いますよ、俺の涙」)

(野獣「ああ、まるで冗談のように溢れ出る、ふざけた涙ならば見た事ある」)

(次兄「いつだって割と真剣に生きているのにひどい」ブワァ)

(野獣「ほら、今も」)

(野獣「……あの時は末妹に見つかるまいと慌てて拭っただろう、見ていたぞ?」)

(野獣「なぜ泣いたのだ?」)

(次兄「……野獣様は俺の友達。末妹は俺の妹」)

(野獣「ん?」)

(次兄「ふたりが仲良くしているのは友として兄として喜ばしいことだし」)

(次兄「お屋敷に戻ってからの二週間、俺は何ひとつとして、失ったものはない」)

(次兄「……なのに……野獣様と末妹の間には」)

(次兄「他の誰も、俺でさえ、どうあっても入り込めないふたりの世界が…いつの間にか出来ている……」)

(野獣「次兄……」)
 


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