末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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213: ◆54DIlPdu2E[saga]
2016/06/05(日) 22:03:17.57 ID:6a3lF7RW0
(師匠「昔、魔術師ギルドの花壇に誰も植えた覚えのないバラがあってな」)

(師匠「誰か出入りの者が鉢植えを持て余したかして、人目を忍んでこっそり植え替えて立ち去ったのだろうが」)

(野獣(花泥棒の逆は何と呼ぶのだろうか?))

(師匠「もちろんそんな状態だったから、皆、花壇の世話の際に水をやるくらいはしていたが基本ほったらかしで」)

(師匠「毎年、春先に雪の中からボロボロの茎だけの状態で表れるのに、時季にはしっかり花が咲いていた」)

(師匠「それよりは間違いなく屋敷のバラは手をかけられているのだ、心配するな」)

(王子「……丈夫な種類は本当に丈夫ですからね、でもうちのバラには本来は繊細な種類もあるのです」)

(野獣「それにうちのバラは末妹が楽しみにしているバラですよ、ただ咲けば良いのではなく『美しく』咲かせなくては」)

(師匠「わかったわかった、デリカシーに欠ける発言をして悪かった」)

(師匠「それはそれとしてな、菫花。お前と儂はしばらくこの屋敷を留守にするのだから、心配しても仕方ないのも事実だぞ」)

(師匠「庭師を信用して任せるがいい、野獣だって助言できるのだからな」)

(野獣「そう言えば明日からでしたか、紹介していただいた騾馬の牧場を訪ね歩く旅行は」)

(野獣「……しかし森を出るまで瞬間移動ならば、全部瞬間移動にしてしまえばすぐ済むのでは?」)

(師匠「お前はわかっとらん」)

(師匠「敢えて魔法は使わず普通の人間として旅をすることに意義があるのだ、菫花にとってはな」)

(師匠「この時代で人々がどんな暮らしをし、そして200年以上の間にどれほど人の世が変わったか肉眼で見て手で触れ」)

(師匠「あの兄妹以外の人間と出会うことで得るものも大きいだろう」)

(王子「……君の分まで外の世界を見て来るよ、野獣」)

(王子「僕が一生かかって見る世界の、今回はその第一歩に過ぎないけど」ニコ)

(野獣「……もう、恐れはないのか?」)

(王子「うん、末妹さんと次兄君が勇気をくれたし」)

(王子「……まあ、何よりも師匠が一緒ですから、ね?」)

(師匠「…………」ニヤリ)

(野獣「 」)



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