末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[saga]
2016/03/15(火) 23:14:01.47 ID:PZ9SW6HQ0
屋敷の廊下、裏庭へ続く扉の近く。
執事「おや菫花様、バラ園へ出られるのですか?」
王子「ええ、冬に向けてバラの雪囲いをどうするか、庭師君と二人で考えようかと」
執事「なるほど、普通のバラになったからには雪の中に放って置くわけにもいかないでしょうね……」
執事「ところで菫花様、師匠様がどちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
王子「ああ、師匠なら自室で二度寝してくる……とのことです」
王子「……野獣に『会いに行った』のだろうけど」
執事「……なるほど」
王子「でも、彼も今回は心から笑って見送ったと思いますよ、僕は」ニコ
執事「ええ、わたくしもそう思います」ニッ
王子「執事さん、師匠に用事が?」
執事「実はですね。さきほど玄関にこちらが」ピラ
王子「師匠宛の手紙?」
王子「……呪文か、いにしえの魔法道具を使ったかは、僕には判断できないけれど」
王子「いずれにせよ何らかの魔法で届けられたのでしょうね、ということは師匠のお弟子さんの子孫さんか」
王子(なんの用件だろう……?)
……
ふたたび、夢の世界。
(師匠「儂の弟子の子孫な、早々と、騾馬探しに取り掛かってくれている」)
(野獣「おお、それは楽しみですねえ……!」)
(師匠「早ければ今月中にでも、質の良い騾馬の生産者リストを送ってくれるらしい」)
(師匠「リストに従って、実際に訪れ実物を見て決めると、だいたいこんな予定だ」)
(師匠「確かな生産者を選んでくれるとは思うが」)
(師匠「どんな優れた騾馬でも菫花がうまく扱えるには時間も手間もどれほどかかるのかと、心配でもある」)
(師匠「特別に忍耐強い個体だと有難いものだ」)
(野獣「菫花だってがんばりますよ、そして騾馬相手にもそれは通じるはず」)
(師匠「そうあってほしいな」)
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