「『須賀京太郎』とは、あなたのそうぞう上の存在に過ぎないのではないでしょうか」
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660:名無しNIPPER[saga]
2016/11/02(水) 23:37:47.74 ID:mI+Zg/sJo


その完璧さがざわつきの一因となったのは、一昨日のことである。


昼食後、食器が片付けられたと思ったら、卓の上にはお菓子が並んでいた。

ケーキはカップケーキに始まりシフォンケーキやチーズケーキ等数種類、マカロン、ばうむくーへんやなにやらクリームを挟んだクッキー等。

シンプル故に、その味を視覚にまで訴えかけるようなそれらが、数多広げられている。

正に千紫万紅の光景であった。


「これは?」

「女性が好むような洋菓子を作りたい、と相談を受けまして。恐れながら、ご意見をお伺いしたいのです」


珍しい、と思いながらも手前にあった一口大の丸いパンの様なものを口に入れてみる。

もちもちとした食感に、中に詰まっている小豆とクリームが頬を緩ませる。


ハギヨシは、料理だけでなくお菓子も一級品だ。

それは知っていたことだが、ここまで豊富な量を見たのは初めてだった。


「お気に召されましたか」

「……気を使わせたか?」

「出過ぎた真似かとも思いましたが、度々難しいお顔をされていましたもので」


妙な落ち着きの無さを感じていたことを、悟られていたらしい。



東京から帰ってきてからだろうか、何か違和感を感じているのだ。

しかし、それが何か分からず、鬱屈とした気分を抱えていた。

ハギヨシのお陰で、今はその気分も何処かへと行ってしまっているが。


「相談を受けたというのも、名分か」


プリンの入ったシュークリームを頬張る。




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