魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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273: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/04/22(金) 00:05:36.38 ID:XCb4AxA00

近衛「下に屋根が見えるとはいえ、飛び降りて落下中に飛距離を稼ぐに充分な高度とは思いませんよ…。ただ真下に落ちてしまうのでは?」

亀姫「そうですわね。そして、ここからただ落ちたら、むしろ強く堀にたたきこまれるでしょう。……雲の下まで突き抜けてしまいそう」

近衛「雲の下まで…。せいぜい数十メートルのつもりが実は何百キロの高さだなんて。笑えません。……本当にここから落ちるおつもりですか?」

亀姫「あら、もちろんそのまま落ちたりしませんわ。……翼を持ち、滑空するのです」

近衛「翼…?」

亀姫「ええ。たくさんありますでしょう?」


亀姫が指差した先の通路には、魔王達の倒した神族の骸が点々と転がっていた。


近衛「………まさか…」

亀姫「察してくださって助かりますわ。さ、取っておいでなさい。ああ…首と腕と、胸下は要りませんわ。邪魔ですもの」


あっさりと言ってのけた死体損壊令に、近衛は躊躇する。
……神殺しだけでも罪深く感じたのに、まさかその遺骸を弄ぶ事になるとは。


亀姫「私の分と坊やの分で2体ね。あまり硬直していない、翼の綺麗に残った骸を選んで頂戴。……これなんてどうかしら?」


亀姫が扇で指し示した遺骸は、身体の中央が瓦礫の破片に穿たれている。
壁に打ち付けられて死したのだろう。崩れた身体は壁を背に座り込んでいるように見えた。
大きく広げられたままの翼が、最期の瞬間の衝撃を語っている。




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