魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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◆OkIOr5cb.o
[saga]
2015/12/14(月) 10:23:54.89 ID:0t/Lxfak0
それぞれに御簾へと近づく二人。
薄い結界に触れる事はなく、だけれど近づけて合わせたその掌からは、熱が伝わるような気がした。
いつもと違う衣装に、胸元で揺れる魔王の血の結晶。
言葉をなくした二人は、その揺れる石を眺めていた。
近衛「―――」
近衛(天使を無理矢理に隠し連れて、神界へと返せたら)
何度も考えては打ち払った希望が、この期に及んで未だ湧き出る。
返せたら最良。だが、近衛にはそれが出来ないのだ。
近衛(この結界を無くして、天使に近づく事など出来ない)
この御石は、浄気に触れればそれだけ表面から劣化していくだろう。
純粋すぎる魔素の固まりと、純粋すぎる浄気は拮抗し、消耗を起こす。
そうなればこの御石は目詰まりしたフィルタさながら、この魔素だらけの大気を充分に濾過することができなくなる。
魔素の大気が取り込めなくなれば、力が振るえないだけではなく
純粋に呼吸困難に陥るのだ。
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