魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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167: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2015/12/14(月) 10:21:19.46 ID:0t/Lxfak0

亀姫(……いえ、そうではなく…)


亀姫を支えて抱く腕は、時折思い出したかのように、緩んだり強張ったりしている。
抱いている事を、意識しているが故の反応。それなのに虚空を見つめて呆けているのは、つまり――


亀姫(……私ではない、誰かへの優しさ。それを私が代わりに受け取っておりますのね)


あれほどまでに昂ぶっていた想いが、急速に鎮まる。
気を抜けば自分の事を哀れんでしまいそうで、歯を食いしばる。
一族の長として、また今代亀姫の名を冠する者として、そんな愚かな真似は許されない。

凛、と鈴が鳴ったような気がした。
途端に体中から、緊張も動揺も消えうせる。
今あるのは馴染み深い、“正常を維持して凍りつかせたような、平静な体感覚”のみ。

魔王の膝からスルリと抜け出し、縁を下りる。
そして向かいに静かに立つと、頭を下げた。


魔王「……どうした」

亀姫「畏れながら申し上げますわ。昨日、私は大婆様を見舞いに参りました」


主への、恋心。
それを隠しきってこその“慎み”で、“貞節深さ”だろう。
失ってはいけない。それこそが「亀姫」なのだから。




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