魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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454: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/03/28(月) 01:50:06.44 ID:IMgzJVX60



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どうしてこんな事になったのか。

本部に招集されぬ自分たちなど、各所の支部を任されたごろつきに過ぎない。
家畜が逃げた、人探し、家具の組み立て、引っ越しの手伝い等、
依頼はつまらないものばかりだし、便利屋などをやって師団の運用費用を稼ぐだけの仕事だったはずだ。
まぁ元がこそ泥だったり、日銭を稼ぐだけのどうしようもない傭兵だったり、
育ちのいい者、実直に生きてきた者など同僚には一人として居なかったが、
感謝というのは麻薬のようなもので、みな悪い気はしていない事は確かだった。

仕事はくだらないが誰かに必要とされる仕事というものは意外にも性に合っていたのかもしれない。
最近では自分なりにやり甲斐などというものを感じ始めていて、
このまま骨を埋める事も悪くはないかもしれない、とまで考えていた。

依頼は単なる護衛だったはずだ。
指定された場所で落ち合うと、そこには妙に育ちの良さそうな男が居た。
隣の村までの護衛を頼む、金に糸目はつけないからできるだけ多くの人員を連れて来て欲しい、
それが依頼だった。時計塔の街に駐留している第6師団所属の人員に戦闘に長けた者は少なく、
魔物退治の経験のある支部長を含む10人が選ばれた。

落ち合った場所は街はずれの林だ。
支部長が男と話している時、突然一人が倒れ伏した。
倒れた一人はこめかみを矢が貫通していて、みなそれを見て敵襲に備え、木々の合間に身を隠した。

襲ってきた者は何者か、なぜ自分たちが狙われるのか。
混乱した頭を抱え思わず空を見上げた時、確かに見た。

矢が不自然な弧を描き、吸い込まれるようにまた別の者のこめかみを貫くところを。





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