魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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419: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/12/30(水) 01:54:09.61 ID:+mjVyJCo0




ローブを用意し、湯浴みを済ませた。
この国ではこれこそが正装だ。
今の時期ならまだいいが、いかに大陸北部とはいえ、
夏が無いわけではない。
王城で魔法は禁じられているため、夏の謁見ともなれば、
それはまさに地獄だ。

ま、謁見の間は、魔法で空調が効いてはいるけど。

髪を結わえている時、
ふと、化粧台の隅に追いやられていた、小瓶が目に留まった。
確か、いつかどこかの商人からガメた月下香のオイルだった気がする。


賢者「…なんだって、こんなもの………」


随分高価なものだと聞くが、
持ち帰ったまま長い間忘れていた。
優れた防腐処理が為されているようで、
少なくとも劣化などはないようだ。

なんとなく、小瓶を開けてみると、
ふわりと部屋中に、なんともいえない甘い香りが広がった。
思考を軽く麻痺させるほどの、粘膜が痺れるほどの甘い香り。
異国的でいながら、どこか庭先に覚えのあるような、
例えるなら、自らに罪はなく人を狂わせる儚げな美女のような香りだ。


賢者「…っぷ。つっよ…」


…ま、少しならいっか。
首にちょっとだけ擦り込んでローブを羽織る。


賢者「あ。
   ………いい香り」


これなら、密かな自分だけの楽しみといえる。
…チュベローズって、どんな花だっけ?

ま、いっか。いい香りだし。






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