4: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 19:58:01.81 ID:tNq3pxyB0
魔女「やぁ、変わらないね。
別れを交わした時と同じように血塗れじゃないか」
戦士「なんだ、帰ったのか」
背に担いだ魔物の死体をものぐさそうに投げ捨て、
身の丈以上あるハルバードを振り回し、彼は器用に魔物を解体した。
戦士「魔物食をどう思う?ここ数年、瘴気の侵食が進んでな。
狩りをしようにも魔物しか居ないんだ」
魔女「ふふふ、そう言う君が一番平気じゃなさそうだが」
戦士「…そうだよ。
まぁ、料理しちまえば似たようなもんなんだが、
生きた姿はとても人類の狩猟対象には見えねぇよなぁ」
9年ぶりの再会には、期待していたようなロマンチシズムは感じなかったが、
幾星霜を数日に感じさせるように自然に、私たちは再会した。
9年前、彼は私を泣いて止め、父を振りきり丘を転げ落ち、大岩に頭から激突した。
割れた額から夥しい血が流れ、もはや涙が出ているのかどうかすらわからないまま、
彼は私を引き止めた。
その彼は今、魔物の血で赤く染められている。
魔女「辺境に勇壮なる斧槍使いがいると聞いたが」
戦士「ここいらにハルバード使いは居ねぇよ。
他を当たれ」
魔女「君が手に持っているものはなんだ。
…再会を喜んではくれないんだな」
戦士「俺も似たような話を聞いたんだ。辺境に国を追われた魔女が棲むって噂だ。
危険すぎて中央王国も手が出せないんだと」
585Res/472.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20