319: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/10/22(木) 01:35:53.66 ID:GXsKHRI30
戦士「おい、盗賊。
外が騒がしいぞ。
さっさと逃げねーと、新手が来る」
盗賊「あなたは賢者殿を。
私は、この子を…」
賢者「……その必要はないわ。
どうやら、あなたに助けられたようね」
休んでいるうちに回復したのであろう賢者は、
頬を僅かに紅潮させ吐息も未だ荒いが、
なんとか足は動くようだった。
賢者「髪が濡れてるわね。
…ふーん。
そっか、水は雷を通しやすいから。
濡れてちゃ使えないってわけね」
勇者「……………」
戦士「賢者、走れるか?」
賢者「多少なら平気よ。
…頭はずきずきするけど、
魔力切れは初めてじゃないから」
盗賊「行きましょう。
脱出経路は調べてあります」
勇者「………ふざけないでよ。
絶対に、逃がさない」
盗賊が勇者に手を掛けた時、
勇者は手を縛られたまま、投げやられた剣に弾かれたように跳躍した。
落ちた剣で紐を切り、手を縛る流星錘がはらりと地に落ちる。
勇者の左手には魔力が練られていた。
身体を濡らす水はもはや渇き、
ただ蒼い光と薪の音が響く。
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