292: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/10/05(月) 03:50:02.63 ID:D2uU4S3W0
勇者の放り投げた赤黒い球体は、
床に落下するなり、閃光を放ち轟音を響かせた。
圧倒的な熱量と急激に膨張した大気が放つ衝撃波は、
容易くコンクリートを崩壊させる。
それを見て、床を壊したのはこの爆発だと確信できた。
爆轟の規模は決して大きくはない。
しかし眩む視界の中、爆轟の周囲に、更に炸裂する大気を見た。
まるで連鎖するかのように、
爆発は蟻の巣のように周囲を取り囲む。
球体に蓄積された魔力が新たな爆発を産んでいるのか。
乱れ咲く爆轟はまさに雨粒の飛沫を散らすが如くだ。
反応速度が高すぎて、爆轟は一度のみに感じられる。
賢者「………ぐっ……………!!!」
連鎖反応が終わり、
焦げ付いたような臭いが鼻を刺す。
範囲はおよそ10メートル四方だろうか。
身体が無傷のところを見ると、
どうやら賢者に守られたようだ。
戦士「…無事、か?」
賢者「たまんないわね、これは。
何度も防げるものじゃないわ」
戦士「お前も無傷か。
すまない、助かった」
賢者「でも魔力切れよ。
もう、…搾り粕も出ないわ」
戦士「…………あとは任せろ。
どうにか守ってやる」
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