魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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274:名無しNIPPER
2015/10/05(月) 03:29:24.21 ID:D2uU4S3W0



戦士「…勇者の動向は?」

賢者「すぐ上まで来てるわ。
   飛ばすから、動かないでね」

戦士「………おう」


賢者がぶつぶつと呪文を唱え始める。
身体が青い光に包まれ、
まるで重力が消え失せていくかのような、風圧を感じ始めた。


賢者「上、よく見ててね。
   離れると姿勢制御がしにくいから、その辺りは精霊に命じて…」

戦士「は?
   そんな事できねーよ」

賢者「シルフ、飼ってるんじゃないの?」

戦士「まだ足に棲みついてるらしいけど、
   命じるとか、した事ないよ」

賢者「…ふぅん。
   なにも知らないのね」


途方もない轟音と振動が地下を揺るがしたのは、その時だった。
賢者は驚きに身を強張らせ、
身体を包む風圧が消える。
衝撃は天井からだ。
やがて粉塵が降り注ぎ、それで、天井が壊されようとしている事を悟る。

賢者の眼差しは、より一層鋭さを増す。
なにかが猛烈な力で天井を壊そうとしている。
方法はわからないが、その力、魔性の類である事は疑いがない。

再び地下は激震する。
天井の中央から、蜘蛛の巣を思わせるような罅が走る。
相当な厚みがあるようだが、あの損傷では、次は耐えられないだろう。


賢者「…戦士」

戦士「作戦変更だ。
   あれが崩落すると同時に、俺を上に飛ばせてくれ」

賢者「馬鹿、瓦礫に当たって死ぬわよ」

戦士「大丈夫さ。
   ただ、頼みがあるんだ」

賢者「何よ」

戦士「うんと、身を軽くしてくれ。
   姿勢制御は、しなくていい」

賢者「……………わかった。
   やってみるわ」


道がひとつしか無いのなら、
迷わずに済むという事だ。
それが死地に向かおうとも。






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