104: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/05(土) 01:17:20.05 ID:X+mP6cx90
鉄扉を切り崩し、2人で搬入口に飛び込む。
ドーム状の石造りの部屋。
広さはそれなりで、闘技場を思わせる。
戦士「石は、どうなん、だっ…!」
勇者「ギガ………………、」
勇者の左手が魔力を帯びる。
…目にするのは二度目だが、
勇者が雷魔法を使う時の魔力は、驚くほどに少ない。
まるで、勇者の呼びかけに、雷の方が応えているような印象さえ浮かばせる。
一瞬、鉄扉から先の、鉄の骨組みが青く輝いた。
勇者の白銀の髪が逆立ち、
共鳴りのような振動音が、徐々に強くなる。
勇者「デイン!!!!」
雷の龍が足場を這う。
鉄は雷をよく通すというが、
なるほど、これでは使えない。
迅雷とはよく言ったものだ。
その速度、光に迫る。
魔法使いたちはまるで煙に燻された虫のように足場から落ちていく。
雷光が治まると、周囲は完全な無音の空間になった。
鉄と生き物の焦げ付く臭いと、
微かな雷と魔力の残滓。
前回の焼き直し。
勇者の、ただ一度の瞬きの間に、
容易く敵を全滅させる力。
勇者「……………」
戦士「出鱈目だな、相変わらず」
勇者「雲が見えればもっと強いんだけどね」
戦士「……俺、必要なのか?」
勇者「僕は接近戦が苦手だから。
この地形だと一人じゃ危険―――」
戦士「………っ!!勇者!!!」
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