515: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/07/19(水) 23:51:57.42 ID:gYu/n8WbO
結ばれたエリナの口元が、引きを強める。
両拳は胸の前で握りしめられ、やや前傾の姿勢から放たれる眼光は鈍らない。
「そんなに身構えなくてもいいんじゃない……?」
どんな大物でも受け止めてやる、とでも言いたげな彼女の気概が妙に大袈裟なものに思えて、真顔が少し崩れた。
僅かにでも気の休まる状況に身を置けたせいか、頭も緩んでしまっているらしい。
「いいから……!」
戒めの如く、こめかみの奥がきりりと締めつけられる。
新しい症状だろうか。
ともかく、仕切り直しだ。
傷んだ喉を咳払いで和らげ、より鋭く私を見据えるエリナの方へと向き直る。
「私が隠しておきたかったのは、もっと単純な事でね」
「……不安、なんだ」
少し下がる彼女の両手が、視界に入った。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20