468: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/02/06(月) 01:32:09.49 ID:bb/eYvHzO
「……えっと……"今"の君は、ジュリウスと同じ"黒蛛病"患者、です」
「そう……さらに言えば、"ブラッド"の偏食因子を保有した者同士でもある」
「置かれた条件の似た私の身体を調べれば、今のジュリウスの身に起こってる事も何かわかるかもしれない」
事実を再確認し、沈んだシエルの表情が見て取れる。
私はここから更に、彼女を傷つけなければならない。
胸を軋ませる、先ほどまでとは別種の痛みを振り切るように、私は言葉を紡ぐ。
「少し前にみんなにも話したけど、私は"黒蛛病"の性質が、ラケル博士の真意を知るヒントなんじゃないかと思ってる」
「だから私は、フライアから帰ってすぐ、博士に取引を持ちかけたんだ」
「この身体一つさえ差し出せば、ジュリウスか、彼を囲っているフライアの目的にもぐっと近づける可能性が出てくるわけだしね」
「そんな言い方……!」
「……それに、"黒蛛病"自体を治せる手だても、早く見つかるかもしれない」
「私だけじゃない、他の患者の人達だって助けられるんだ」
「流石に榊博士もいい顔はしなかったけど、最後は根負けしてくれたよ」
厳密には、彼が強く難色を示したのにも、別の理由があるんだけど。
「……それで?」
「取引という言葉を選んだからには、君も何か協力の見返りを求めたんですよね……?」
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