461: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/01/24(火) 21:48:47.85 ID:cwapklYdO
「ううん、それは出来ないよ」
「ですが――」
だから、私は彼女を裏切らなければならない。
今は問題なくとも、このまま状態を継続させていく以上、シエルの追及は免れないだろう。
そうして彼女には適わないと確信していたからこそ、私は滲む決意を再び奮い立たせる。
「休みたくても、身体が休ませてくれないんだ」
首元のインナーに手をかけた。
元々は鎖骨辺りまで空いた形のものだったけど、フライアへの突入を機に新調している。
なるべく、全身が隠れるように。
「……こう、なっちゃったから」
微かに震えた指が、インナーをずり下げた。
形だけの笑顔を伴ったそれに、シエルが絶句する。
露わになった首には、今にも喉笛に喰らいつかんとする黒蛛が一匹。
私は、病に罹っていた。
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