458: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/01/24(火) 21:26:54.95 ID:cwapklYdO
◇
「――し、失礼します」
「いらっしゃい。お茶淹れるから、そこに掛けてて」
緊張で、少し上擦った声を迎え入れる。
L字型の6人掛けソファーとテーブルが常備され、一人用の個室としては少し広いこの空間は、"アナグラ"における私の部屋だ。
元々"ブラッド"の使用している区画一帯が、迎賓用のものを一部改装しただけあって、
特に隊長でもある私の部屋の場合は、軽いミーティングや会合といった集まりに用いられる機会も多い。
もちろん、こうして個人的な用事に使うことも珍しくはないんだけど。
「お待たせ……シエル、もうちょっと楽にしてもらってもいいんだよ?」
「ありがとうございます……ここも何度か使わせてもらっていますけど、君と二人きりだと思うと、その……」
カップに注いだ紅茶を、シエルに振る舞う。
任務に付き合った礼として、以前にエミールから貰った品だ。
私の淹れ方がよほど不味くなければ、味は保証できる。
「二人きりだと……?」
「い、いえ!何でもありません!」
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