379: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/05/02(月) 01:10:11.37 ID:KF4YG9vao
両手で顔を覆い、レア博士が言葉を打ち切る。
……少し、気を急いてしまったらしい。
私の追及を引き金に取り乱し始めたレア博士は、間違いなくラケル博士にまつわる何かを握っている。
それが今の状況につながるかは別として、まずは彼女を落ち着かせなければならない。
「……少し、整理が必要ですね」
そう呟くシエルに頷いた私は、彼女にこの尋問の主導権を預けることにした。
レア博士から情報を引き出すにはシエルが適任だ、と判断したのもあるけど。
この時点で焦れてきている私では、余計に事態を混乱させてしまうのでは、という危惧もあった。
「あの、レア先生……私達に何か、お手伝いできることはないでしょうか……?」
「まだ、先生と呼んでくれるのね……全ての原因は、私なのに」
「原因……というのも、聞いてみないことにはわかりませんから」
「それに、幼い頃から教わってきた私にとって……先生はいつまでも先生なんです」
面を上げ、初めてこちら側にレア博士の顔が向く。
見開かれた目でしばらくシエルを見つめ、視線を戻した彼女は、少しの逡巡の後、耐えかねたかのように口を切った。
「……これは、昔話よ」
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