366: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/04/10(日) 12:59:34.91 ID:sXugDQCbo
「誑し込んだ覚えはありませんけど……」
「あらま、ここの言語に堪能なんですねー……まあ、褒め言葉ってことで」
「ちなみにジュリウスさんには真っ先に連絡したんですけど、向こうが出てくれなくって……他の人で、お願いします」
ジュリウスは、"黒蛛病"患者達の現状を知らない。
ラケル博士が彼に報告できるだけの進捗状況ではなかったのだろうと、あの時は解釈していた。
だけど、今の私の心理ではこれも、懐疑の燃料になってしまっている。
その上、この問題に関しては末端に位置するジュリウスにまで連絡がつかないとなると、不安はより強まっていた。
「あ、その人に迷惑をかけるつもりはないのでご心配なく!かるーく、取材させていただくだけですから」
恐らく、私を含めた極東支部の人間では、情報の開示どころか、接触もままならない。
こちら側でそれを打開できるのは、あくまで無関係の立場を装える、サツキさんだけだ。
「……ユノの、ためですか」
「はい?」
「あなたの立場でも……いや、市民なら尚更、リスクはあるはずです」
「とても自分のためだけじゃ、出来ない事だと思って」
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