348: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/03/30(水) 00:21:30.07 ID:1CHoKoAWo
赤黒い渦が昇る。
『くっ……!?』
異変は、戦場にも形を現し始めた。
ガルムの群れが、ほぼ膠着状態にあった神機兵団を圧し始めたのだ。
『周囲のアラガミが一斉に活性化!?そんな……!』
『……発信源は、活性化したマルドゥークのようですね』
狼狽えるオペレーターに、努めて冷静に応えるシエルの表情は引き攣っていた。
彼女の“直覚”は、より正確に戦況を捉え、より明確に異状を察知している。
……アラガミからこの感覚を得るのは、初めての事だった。
"感応種"という括りで考えても、今まで活性化に至った相手は少なくない。
それが、何で今になって。
敵は考える暇を与えない。
怒る肩に押さえつけられたマルドゥークの両腕は、尚も灼熱を灯そうとしていた。
その光量が増すごとに、表面の裂け目は広がっていく。
もはや制御も出来ず、ただ負荷を蓄えるだけの暴挙を、マルドゥークはあえて断行していた。
むしろ、自身の決壊を待つかのように、足元のみならず、周囲の地表までも煮えたぎらせる。
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