339: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/03/24(木) 01:25:28.09 ID:DnK4wTToo
嘗て同じ相手に脚が竦み、声も出なくなった頃から、どれほど経っただろうか。
私はこうして生き残り、短い間に多くの経験を得てきた。
少し癪だけど、その猶予を私に与えたのは紛れもなく父の言葉で、きっかけとなったのはマルドゥークとの邂逅だ。
「みんな、行こう!」
私の号令で、"ブラッド"は行動を開始する。
まずは銃撃による牽制を交えて敵を誘い込み、三方からの包囲を形成しつつあった私達に対し、
マルドゥークは正面の私を標的に捉え、その陣形を突き崩そうと身を乗り出した。
……眼前の仇は、ただ憎い。
だけど、そもそも私があの時仕留め損なわなければ、一連の事件は起こらなかったかもしれない。
その事件にしても、悔恨の情は未だに残っている。
神機使いとして割り切らなければならない問題だと理解はしていても、当事者である以上、因果関係を感じずにはいられなかった。
少なくとも、慣れてしまってはいけないと思う。
マルドゥークが前腕を覆うガントレット状の硬皮を上下に展開させ、勢いよく横に払う。
飛び上がって躱せば、展開によって露わになった灼熱色の発熱器官が、振り抜いた先で爆発を起こした。
その反動で速度を増した振り払いが、再び私に迫る。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20