324: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/03/11(金) 00:55:59.32 ID:0GQMf/Jmo
「く……っ」
薄く雲がかかった、月の下。
音の主は、出入り口から少し離れた岩場にいた。
こちらの存在には気づかず、左腕を抑えながらも、苦悶の声を噛み殺す。
「……やっぱり、感染してたんだね」
私の声に振り返ったのは、ジュリウスだった。
途切れがちな月光が、うっすらと汗の滲んだ彼の顔を照らす。
「……起きていたのか」
「何だか寝られなくて」
袖の捲られたジュリウスの左腕に浮かんでいたのは、黒蜘蛛の文様。
「……いつから、気づいていた」
「確信を持てたのは、今の反応で」
「……あの場でロミオと一緒に戦ったのに、何ともないのはちょっと不思議に思ってたけどね」
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