247: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/02(火) 00:56:29.54 ID:3UBu+Mb9o
「……さてと!」
視線を一瞬床に移した後、エリナが勢いよく立ち上がった。
「それじゃ私、先戻るね」
「待って」
踵を返し、立ち去ろうとするエリナを、私は思わず呼び止めていた。
背を向けたまま、彼女が立ち止まる。
「……もう少しだけ、待ってて」
「絶対に、何とかしてみせるから」
根拠も、具体性もない言葉。
責任の重さと、抱き始めた疑問が解消されたわけでもない。
だけど、そう言わずにはいられなかった。
「……うん、待ってる」
去り際に片側だけ見せたエリナの目は、私に期待を寄せる、"ブラッド"のそれと似ていた。
変わらない気丈さと、それに隠された、純真な心。
そんなエリナの、成長の一端にでも私が影響しているというのなら、尚更それを妨げるわけにはいかない。
私はいつの間にか輪の中にいて、たった今、彼女との関係をつなぎ止めようとしている。
人とのつながりを自覚した私の心境は、確かな変化の兆しを見せていた。
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