21: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:20:33.15 ID:l08ZVGCi0
◇
アラガミを構成する自律した細胞群、"オラクル細胞"には、捕喰の傾向を決定づける"偏食因子"と呼ばれる物質が備わっている。
その作用により、アラガミは"偏食場"という特殊な信号―パルス―を体から常に発する。
アラガミが群体行動をとるのは、"偏食場"同士が互いに共鳴し合っているためであり、同様のパルスである場合、特にその傾向が強くなる。
22: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:22:49.72 ID:l08ZVGCi0
話が逸れてしまったけど、"感応種"の厄介なところは、
こうした"新型"の感応能力のような強い"偏食場"を、アラガミ側が身につけてしまっているという点だ。
"感応種"の発する"感応現象" は強烈なパルスとなって周囲のアラガミ、果ては神機にまで影響を与え、それらを管理下に置く。
アラガミ達は"感応種"を核とする、より統率されたチームワークと、強制的に活性化された力で神機使いを襲い、
23: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:26:55.46 ID:l08ZVGCi0
初めて遭遇する大型アラガミ、しかも、再三警告を促されていた"感応種"。
今まで対峙してきた中型アラガミの、二回りは大きい、狼のような体躯。
ごつごつとした岩のような質感の、鉄をも砕きそうな前脚。敵対者を射抜かんとする眼光。
他のアラガミを引き連れた様子はない。
24: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:30:10.08 ID:l08ZVGCi0
まだ息はあるようだけど、とても自力では立て直せそうにない状態のように見えた。
今立ち上がった私が"感応種"に嬲り喰われてしまえば、次は彼が玩具にになるだろう。
そう思った途端、自分の身体の内から、真っ赤なものが湧き上がってくるような感じがした。
25: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:33:33.52 ID:l08ZVGCi0
◇
私の"血の力"を乗せた一撃で、思わぬ逆襲を受けた"感応種"は、
救援に駆けつけた"ブラッド"の応戦も加わったことにより、撤退を余儀なくされた。
"感応種"へのカウンター。それは、奴らの"偏食場"と同等以上の力を持ち、他の神機使いをも活性化させる第3世代神機使い、
26: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:38:36.43 ID:l08ZVGCi0
実際、"血の力"が発現して以降の私の調子は凄ぶるいい。
"血の力"に対応する性質を持った第3世代型神機の精度がより高まったおかげもあるけど、私自身も以前よりずっと冷静に戦えるようになっていた。
神機の適合率が高いと、稀に人格に影響を及ぼすことがある、という噂を聞いたことがあるけど、その影響もあるかもしれない。
それにしたって調子がいい……思わず疑ってしまうほどに。
27: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:40:36.10 ID:l08ZVGCi0
私やギルを除くブラッドの面々も、"マグノリア=コンパス"の出身なのだという。
孤児院を営む傍ら、極致化技術の開発に従事……計画を飛躍させるための、"マーナガルム計画"や"アーサソール"のような、人体じっ――
――考えるのを止めた。
自分に力があるとわかった以上、今は誰かのためにそれを振るうだけだ。命はまだとっておきたい。
28: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:43:57.65 ID:l08ZVGCi0
◇
シエル・アランソン、16歳。私やナナと同じく、神機使いとしての経験はないけど、
幼少期に"マグノリア=コンパス"で鍛え上げられた、高い近接格闘術と戦術理論の素養を備えている。
リボンのような結び方の上に、更にリボンで留めた、特殊な銀髪のツインテール、
29: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:48:19.20 ID:l08ZVGCi0
シエルの戦術理論を噛み砕き、状況に応じてわかりやすい形で現場に伝える、双方の橋渡し役として従事してみた結果、
チームの立ち回りとしては、まずまずの結果を得ることができた。
そうした実地訓練をある程度こなしていると、シエルも私を認めてくれたようで、わざわざ自分の友達になってほしいと申し出てきた。
大袈裟だなとは思うけど、私自身、学生時代はその状況に内心苛立っていて、あまり友人を作ろうとは思わなかった。
30: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:52:27.88 ID:l08ZVGCi0
◇
"神機兵"。
フライアの主要計画である"極致化計画"の二本柱の1つで、その片割れの"ブラッド"と共に運用計画が進められている。
主導者はフライアの開発室長であり、ラケル博士の姉でもあるレア・クラウディウス博士。
31: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/14(金) 20:55:01.08 ID:l08ZVGCi0
◇
ここ半年、極東地域で観測されている"赤い雨"。
同色の積乱雲を伴って表れるこの現象は、未だ解明されておらず、分かっているのは、"赤い雨"に触れると、
高確率で"黒蛛病"と呼ばれる未知の病に侵され、人によって進行速度の違いはあれど、確実に死に至ってしまうという一点のみだ。
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