195: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/12/23(水) 01:30:46.19 ID:dBzV5CS0o
またも空間が塗り替わる。
再度靄を抜け、私が目にしたのは、自身も幾度か足を運んだ、フライアの庭園だった。
そこにいるのは、入り口付近に設置された、休憩所の椅子に座り込むギルと、その眼前に立つ、緑がかった金髪の少女。
ギルは先ほどの出来事からいくらか落ち着いてはいるものの、その心は沈み、自責の念と復讐心に縛られ続けていた。
そんな事情は露ほども知らず、少女は恐る恐る彼に話しかけようとしている。
拙い調子に、怯えを見せる態度。
けれど彼女は、けして臆病者ではなかった。
他者のために調和を保とうとする彼女の言葉は、何故か己をもその気にさせてしまう。
ギルの心に、小さな火が灯された。
この少女はどこか似ている。
外見的な共通点はあまりないけど、嘗て自身が手を下したあの人に。
自分への説得が成功し、安堵の表情を浮かべる少女に、ケイトさんの笑顔が重なって――
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