180: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/11/22(日) 02:17:13.00 ID:+my5+5nCo
「くっ……う……!」
鋭い痛みと、全身を襲う痺れに顔が歪む。
身体を動かせないこともないけど、しばらく回避行動は望めそうにない。
とはいえ、こちらも十分なほどの連撃をアラガミ側に叩き込んだ。
着地した尾無しの様子には疲労が見え、一戦目からのダメージが蓄積している無貌は、足元がふらついてきている。
後少し。
この局面さえ乗り越えれば、守り切れる。
麻痺に抗い、私がぎこちない動作で守りを固めるよりも早く、無貌が体勢を立て直した。
衰えてはいるものの、未だ威圧を感じさせる勢いでこちらに迫ってくる。
尾無しも同様に身を翻し、私に追い打ちをかけるために駆け出した。
そこで、ふと私は違和感を覚えた。
無貌の軌道が、段々私から逸れていっている。
今になってフェロモン剤の効果が切れたと仮定しても、不自然なほど右側へ――
無貌の方向に集中しかけてしまい、慌てて尾無しの方を見やるのとほぼ同じタイミングで、刺突音が耳朶に響く。
そこで私が見たのは、オラクル気流を展開した槍先に纏わせ、側面から尾無しの胴体に神機を突き立てているギルの姿だった。
傷ついた尾無しの肉体は容易く槍を受け入れ、たちまちのうちに呑みこんでいく。
たまらず動作を止めた尾無しは、私への追撃を諦め、その場から飛び退いた。
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