178: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/11/22(日) 02:07:25.61 ID:+my5+5nCo
無数の"オラクル細胞"で構成されたアラガミを律する、捕喰行動という名の本能。
その、偏食傾向に拠らない上辺を刺激し、誘発させるのが、先ほど私に投与されたフェロモン物質だ。
ナナの"血の力"ほどの効力はなくとも、これで一定時間アラガミを引き付けることはできる。
私が細胞自体に刺激を与える囮となったことで、無貌の視覚のハンデを解消させてしまったのは痛いけど、
ヤツが狙いもないまま闇雲な攻撃を仕掛け、思わぬ被害が発生するなんて事がないだけ、ずっといい。
神機を構え直し、前後からにじり寄る虎型に備える。
シエルとギルによるものであろう、後方からの狙撃を受けてもなお、尾無しは私から視線を離さない。
もうすぐナナも追いついてくる頃だろう。
……時間は、かけられない。
意を決した私と、獲物目がけた虎型達の跳び上がるタイミングは、ほぼ同じだった。
私は活性化によって攻撃速度を早めた、尾無しの虎型に向けて宙を蹴り、
展開した装甲パーツでアラガミの繰り出した右前脚を受け流し、翻した身で、すれ違いざまに虎型の後ろ脚を斬りつける。
私も先ほどの捕喰で活性化しているとはいえ、やはり一撃では浅い。
通常ならこのまま着地して次の攻撃に備えるところだけど、私には"ブラッドアーツ"がある。
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