133: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/09/18(金) 00:32:44.02 ID:Wv5mRpTq0
「……まぁ、今回はジュリウスの行動に拠る所が大きいだろうな」
「そうですね……ジュリウスの迅速な決断がなければ、ここまで順調にはいかなかったでしょう」
ギルの評に、シエルも同意する。
現在、ジュリウスが推し進めている案件としては、フライアでの"黒蛛病"専用病院設立の目処が立ち、
近い内に"アナグラ"に収容された患者達がフライアに移送される予定となっている。
これが明確な解決手段になるかどうかは未知数だけど、物事がいい方向に進んでいるのは間違いないだろう。
「それだけじゃない……俺が行動を起こせたのは、お前達がいたからだ」
「俺が不在の間も、お前達は"ブラッド"として、遜色のない活躍をしてくれている」
「えへへ……そう言われると、なんか照れちゃうなー」
はにかむナナを見届け、今度は私の方にジュリウスが視線を向ける。
「そして、それを率いてきたお前も――」
そこまで言いかけたところで、ジュリウスの耳に装備された通信端末に連絡が入った。
オペレーターからの通信をしばらく聞いたところで、彼の表情が強張る。
「――すまん、ピクニックはお開きのようだな」
「……極東支部付近で、大型種を中心とした、アラガミの大群の接近が確認された」
それまでの和やかな空気が一変し、周囲に緊張が走る。
万が一の場合を考え、私達の装備もフライアに持ち込んではいたものの、図ったようなタイミングだ。
「マジかよ、こんな時に……!」
「昼食会はまた今度、ですね……皆さん、お願いします……!」
「ええ、是非……"ブラッド"、出撃するぞ!」
結局、何一つ目的が果たされないまま、昼食会は保留となってしまった。
でも、この時点で、それらに対する不安は僅かだった。
……それは私だけでなく、ここにいる誰もが、全員でいつかこの続きが出来ると信じて疑わなかったから。
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